15歳、中三の多感だった少年時代、彼と出会った。
私がバスケット部、彼はサッカー部だった。
大きな目で色白で、シャイだが芯の強い人だった。
いつしか、気の合う親友になっていた彼は、私が高校に通うまでよく遊んだ。
彼の家にも、よく遊びに行った。
高校に入り、私は市内の高校だったが、彼の通う工業専門学校は、遠く御坊市内にあった。
お互いの生活が忙しくなり、すっかり疎遠になっていた彼の消息を知ったのは、偶然だった。
介護の会社を営む友人のもとに、彼が運ばれてきたことからだ。
彼の病は「脊髄小脳変性症」という難病を患っていたからだ。
弱りゆく身体をどうすることもできない不治の病は、まだ53歳の身体にも容赦なく襲いかかった。
そして、今日、友人より彼が亡くなったという連絡を受けた。
「15の春」彼の柔らかな笑顔しか思い出せないのが、悔やまれる・・・。