封切り当時、「東京家族」を観た姉から、絶対お薦めの映画だと紹介されていながら、ついつい先延ばしにしてしまい、見損なってしまったのを残念に思っていた。昨夜、地上波初放映を観て、なるほど薦められた理由がわかった。
なぜなら、まるで、山田洋二監督がモチーフとしたのではないかと思うくらい、我が家の家族にそっくりな設定だったからだ・・・。
作品は、山田洋二監督らしい極々身近にある家族の風景を淡々と描いた良作で、田舎に暮らす年老いた夫婦が、上京し東京で生活する子どもたちの家を泊まり歩くお話。
長男は医者、長女は美容師、そして問題多き次男は、その日暮らしで舞台美術の仕事をしている設定で、老夫婦と子どもたちを縦軸に、一番世話のかかる次男を「妻夫木聡」と付き合っている彼女「蒼井優」との関係を横軸に、描き出す世界は、まさに小津作品「東京物語」への山田監督のオマージュなのでしょう。
私も東京に出てきてから、就職もせずバンドなどという、ふらふらしていた時期、親父との関係は最悪だったし、就職してからも仲を取り持っていたのは、いつも母だった。
映画の中で、最後に「橋爪功」演じる頑固な父親が、蒼井優に対して「今まで、アイツは女々しくて頼りない息子だと決めつけていました。それが、アンタとの仲睦まじい姿を見て、そうか、アイツは母親似の優しい子で、その優しさが何よりアレの値打ちなんだと気づかされました。」と優しく語りかける。
このセリフは、亡き父が私に語りかけてくれているのではないかと思ったくらいで、号泣ものだった。
もちろん、親父が、私のことをどう思っていたかは聞かされたことはなかったが、「アイツは、いい嫁をもらった。」と思って亡くなったことは、きっと間違いない・・・。