11月 222019
 

(2007年07月27日18:08)

重松清著の最新刊「青い鳥」の中で、吃音の国語教師・村内先生はたいせつなことしか話さない。

それも心が揺さぶられるような言葉をつっかえながらも必死で懸命に話す。

「嘘をつくのは、その子がひとりぼっちになりたくないからです。」

「嘘は、悪いことではなく、さびしいことなんです。」

「人間は大人になる前に、下の名前でたくさん呼ばれなきゃいけないんだ。」

「先生にできるのは、みんなのそばにいることだけです。」

「先生が答えなきゃいけない質問は、わたしはひとりぼっちですか?という質問だけです。」

「いじめはひとを嫌うから、人数がたくさんいるからいじめになるんじゃない。ひとを踏みにじって苦しめようと思ったり、苦しめてることに気づかず、苦しくて叫んでる声を聞こうとしないのが、いじめなんだ。」

本を読みながら久しぶりに号泣しました。

6月 022015
 

生物学者の「池田清彦」さんが書いた著書「生きているとはどういうことか」が

大変面白かった。

日常生活を送る上で、自分が生きているという自覚を持つことは少ない。

当たり前のことだが、私自身人間である前に、生物であるという事実。

著書の中で、40億年前の地球に、初めて誕生した単細胞のバクテリアからの、長い生命の歴史を垣間見る。

著書では、遺伝子や生殖、男女の性があるということ、ガン細胞など多岐に亘る「生命」の営みが、書かれている。

植物、動物などの進化は、意外にいい加減な偶然の産物であるというのが興味深い・・・。

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2月 132015
 

「流星ひとつ」は、著者「沢木耕太郎」が、当時28歳だった「藤圭子」へのインタビューをまとめた作品だ。

ただ、わけあって陽の目をみることなく埋没していた作品が、

不幸なことだが、自殺という結末を迎えたことで、出版されることとなった。

28歳は、藤圭子が演歌歌手として、人気絶頂期から離婚し、手術、歌手生活からの引退という頃だ。

現在ほど、スターの私生活がオープンでなかった時代に、ここまで赤裸々なインタビューに応じたことは、

沢木耕太郎と藤圭子の間に流れる強い信頼感がもたらしたものだろう・・・。

後に、歌姫「宇多田ヒカル」の母親となることを併せて読む進むと非常に興味深い。

10代での結婚から、スピード離婚、休養と進む宇多田ヒカルは、まるで母の人生の生き写しだ。

自殺後、娘の口から語られた「精神不安定な状況」と、本著にある、藤圭子が幼少期に父親から受けていた暴力。

人気絶頂期にあり、手にした多額のお金と、そのお金にまつわるトラブル。

波乱万丈の人生を生きながら、他人の人生を語っているかのような達観した生き方は、

歌うためだけに生を得ていたかのようだ・・・。

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12月 192013
 

映画「永遠の0」の公開を控えて、原作者の百田尚樹は各局引っ張りだこの人気である。

映画のプロモーションに原作者が引っ張り出せれることは珍しいが、その特異なキャラクターと弁舌さわやかなしゃべりは、タレント顔負けの存在だ。

小説家になる前が、放送作家であったということで、テレビの使い方をよく知っているということか・・・!

先日、ある番組で、小説を書く前には、まずその素材について、徹底的に取材することから始めるらしい。

最近、百田氏の「モンスター」を読んでいて感じるのは、たしかに素材(「モンスター」で言えば、美容整形)について詳細なデータを読み物として面白く、かつわかりやすく調理してくれている。

さすが、現代のベストセラー作家と納得はするのだが、やはり「小説家」という仕事は、中上健治や壇一夫のような命を切り刻みながら、それでも書くのだという情念みたいなものが必要だと思ってしまう。

古い考え方かもしれないが・・・。

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8月 092013
 

たまたま手にとったスポーツ・エッセーの「どちらとも言えません」が素晴らしかったので、読み進めた「奥田英朗」作品。

考えてみれば、これまでも「イン・ザ・プール」「空中ブランコ」「家内日和」など読んではいたのだが、どちらかといえばコミカルな作品が多かった。

ここ最近読んだ「最悪」、「サウスバンド」、「邪悪」の灰汁の強い作品に完全にはまった感がある。

作風が、シニカルでクール、どこか偏った、現実には満たされない不幸感漂う登場人物を俯瞰から描くのがとても上手い。

事件に関わる登場人物ごとに読み進めていくうちに、すべての登場人物が重なり合い、最後の結論に導かれる。

同じ家族を描いた作品であっても、これまで読みふけった「重松清」的世界から、真逆の家族像を描いているのだが、一度、「奥田英朗」の世界に足を踏み入れると、抜けられなくなる作家なのだ。

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